診立て
ICUでの治療が4日続いた。
投薬が終わり、美月が病室に戻って来た。
また体重が落ちている。
ベットの上で弱々しくボクを呼ぶ。
「かなちゃん、まだ辛いの続くのかな・・・」
「今日と明日だけだ、頑張ろう」
ボクは美月の手を握りながら言った。
内心は今すぐにでも
終わりにしてあげたい。
美月が弱々しく頷く。
眼を閉じてまた眠ってしまった。
医者に呼ばれ別室に行く。
これまでの状況を詳しく説明される。
今日と明日、引き続き投薬し、
さらに1週間後に検査をして
効果を診る。
今のところ、体力の低下は著しいが
薬が確実に効いているとの診立て。
かなり厳しい状態には違いないが、
悲観することはないと主治医の言葉。
回復の具合によっては、
手術が可能になるそうだ。
いつもは厳しいだけの医師の顔が
今日は天使に見えた。
医師の言葉を思い出しながら
病棟の中庭に出る。
天を仰ぎ見ると
鮮烈なまでに蒼い空だった。
空の蒼さがこれまでの苦しみを
すべて洗い流してくれるようだった。
by nanase-kana
| 2008-08-12 19:20
| 回想