寒い日の朝は
朝7時。
日の出から間もない時間帯。
朝光がカーテンから射し込む。
部屋の空気がキーンと冷えている。
布団の中から抜け出すのが辛い。
しかし今日は休日である。
昼間までぬくぬくと
布団の中で過ごすことに決めた。
布団に中に深く潜って眼を閉じる。
至福の時間だ。
バタム。
突然ドアが開いた。
驚いて布団から顔を出しドアの方を見る。
美月がパジャマ姿で立っていた。
寒そうだった。
第一声はボクの予想を超えていた。
「早く起きて!今日は晴れてるから
写真撮りに行こうっ!」
冗談ではない。
今日は惰眠を貪ると決めたのだ。
日中でも体感温度が零度近い日にスナップなぞ、
猫体質のボクにとっては自殺行為だ。
とりあえず無視して布団に深く潜行した。
美月が布団を剥ぎ取りに来たが、
ヤドカリのように断固として抵抗した。
すると諦めたのか
直ぐに静かになった。
ふっ、やはり大人の力には敵わないであろう。
これで安心して眠りにつけるというものだ。
と思ったが束の間、
美月がパジャマのまま布団の中に侵入してきた。
薄着で寒い室内を移動していたためか、
その体はひんやりとしていた。
「風邪ひくぞ。布団に潜ってろ」
すると美月が思い切り体を寄せて
くっついてきた。
「うん・・・」
と頷いたきり、何も言わず
布団の中でゴソゴソやっている。
ちょうどボクのお腹の辺りだ。
美月の手が何かを探っている感じがする。
パッと目の前にカメラが出てきた。
カシャリ。
シャッター、一閃。
「よし、かなちゃんの寝起き顔ゲットー!」
やられた。
至近距離で狙われては
回避しようがない。
布団の中で設定をいじっていたようだった。
むごいほど見事な寝起き顔を
フォーカスされていた。
「つまらんことやってないで
早く顔洗ってこいっ!」
美月のオデコをパチンと指で弾き、
布団から出る。
そこまで撮影したいなら、
寒さを忍んで付き合うしかない。
惰眠を堪能するのは明日にしよう。
by nanase-kana
| 2010-01-22 20:23
| 回想