喫茶店の一幕
早くも美月の鼻の下に光るものを発見した。
気温が低い上に風が出てきた。
日陰に入ると、一気に体温が奪われる。
手先がかじかんでカメラの操作も危うい。
「美月ぃー、一旦退却するぞー」
寒さで口を動かしたくないのだろうか、
コクコクと高速で相槌を打つ。
早足で駅の方へ向かう。
あまりに寒いので普通に歩くよりも
自然と足が速くなってしまうのだ。
喫茶店へ猛スピードで入る。
途端に暖かい空気が顔にかかる。
コーヒーとスイーツの匂い。
やはりこれが無くては
冬のスナップは体がもたない。
テーブルについてメニューを見る。
美味しそうな品の写真が並んでいた。
直ぐに店員さんが注文を取りに来た。
「紅茶とハニートースト!」
美月が迷い無く選ぶ。
「じゃあ、コーヒーとモンブランで」
とボクも負けずに即答。
ほどなくして店員さんが
ボクらの好物を運んできた。
美月が早速温かいハニートーストに
かぶりつく。
「すっごく甘いよ。
なんかプーさんになった気分だよ」
ハニートーストは美月の大好物だ。
だからいつも
「お前の前世はハチかクマじゃないのか?」
と冷やかして楽しんでいる。
ホットコーヒーが冷えた体を
生きかえらさせてくれる。
そしてモンブランが元気をくれる。
やはり疲れた時には甘いものが良い。
by nanase-kana
| 2010-02-06 17:48
| 回想