これから
検査入院が終わり、自宅に帰る。
いつものように玄関を開ける。
「ただいま~」
思わず二人でハモル。
母は留守だ。
仕事で出っ放しなので、
家政婦さんがたまに来てくれる。
二人でリビングのソファーに寝転がる。
大内宿の写真を整理しつつ
旅行の思い出話しで盛り上がった。
これからどうしようか。
そう、美月のことだ。
今までは病気と闘うだけで精一杯で
それ以外、考える余裕が無かった。
もちろん、検査や投薬はし続けなければ
ならないが、これまでと比べれば
時間的にも体力的にも楽になるはずだ。
この時間をどう有効に使おうか、
美月自身も考えあぐねているようだった。
「美月、何かやりたいこと、見つかったか?」
「う~んとね・・・かなちゃんとお出かけ!」
「いやそうじゃなくて・・・」
「いいの!! それで。」
俯いて強い口調で言い放つ。
美月自身もわかっている。
母もボクも美月と一緒にいて
永遠に守ってあげられる訳じゃない。
いつかは自立して、一人の大人として
生きていかなければならない。
そのために、少しでも将来のためになる
ことに時間を費やせれば。。。
と思ったが、それは大人の浅はかな
押し付けに過ぎない。
時に厳しいことも必要だが、
嫌がることを無理に押し付けても
成長しないことが多い。
まずは美月の好きにさせてあげたい。
その中から、ゆっくりと美月の
道にあった方向を目指せばいい。
今はとにかく好きなことを
見つける時間なのだと思った。
by nanase-kana
| 2008-09-03 23:31
| 回想